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「苦しみを喜びなさい」福井 達雨先生

2012年10月24日チャペルアワー
「苦しみを喜びなさい」(本日の聖書:ローマの信徒への手紙 第12章12節)
止揚学園リーダー 福井 達雨先生

 本日は、滋賀県東近江市にある、知能に重い障害をもつ人たちの施設「止揚学園」より、福井先生と西竹さん、中山さんにお越しいただき、「苦しみを喜びなさい」と題した福井先生のご講演と、西竹さん、中山さんより、止揚学園のオリジナル曲の披露をしていただきました。福井先生は1962年に学園を創設され、今年で50年を迎えられました。来年、記念式典を企画されています。
 福井先生には、毎年チャペルアワーでお話をしていただいています。また、止揚学園には保育科1回生の授業での見学と、2回生の実習でご指導いただいており、卒業生も数名保育士としてお世話になっています。
 以下はお話の概略です。

 福井先生は、今の日本の中で一番問題と思うことは、自分の幸せやプライバシー、自分が楽をしたり、得をすることについては求めるが、自分が愛を捧げることが少なくなり、暗い日本になってきたと言われ、ある2人の青年について語って下さいました。
 「ある青年が、止揚学園を訪ねて来られました。ちょうど私は出張中だったため、会えませんでしたが、再度来園され、ここ(止揚学園)で働かせてほしいと言ってきました。就職するには規則があり、就職試験を受けるよう勧め、夜食事を共にした後帰って行かれました。
 1週間後、青年の父母が『息子が家出をした』と言って探しに来られました。机の上に置かれた履歴書を見て、止揚学園の就職試験を受ける準備をしていることがわかり、ここに来られたということです。後日、青年のお父さんから、息子さんは近所の雑木林で自死しておられたという連絡がありました。あの時、少しでも彼のそばにいれたら…。人間の規則などに囚われず、信仰的に支えていれば自死しなくても済んだかもしれないと悔やまれました。
 彼はクリスチャンホームで育っており、信仰、信仰でがんじがらめになっていました。そこから抜け出したい…でもそれは罪になる…苦しい…。その中で人の温もりを求めて止揚学園に来られたようです。でも行き詰り自死を選ばれました。求めることはしんどいことであり、最後に行き詰ってしまわれたのです。
 もう一人の青年は、学生時代に止揚学園に実習に来られていました。彼は今、知能に重い障害を持つ人の所で働いておられます。ある日止揚学園に来られ、いろいろ話を聴きました。仕事は面白いですか?という質問に、『ぜんぜん…』という返事。7人が一緒に就職したところ、4人が辞めてしまい、しんどくて楽しくないという話をされました。そこで、『辞めようと思わない?』と尋ねると、『思いません』と言われました。それは、止揚学園で実習していた時に、『自分が好きなことをやり遂げるより、人間としてしなければならないことをすることが、人間にとって大切なこと。自分が好きなことをしていれば誰かを苦しめることになる。』ということを教えてもらったからということです。『今辞めたら入園している人が悲しみ、同僚も苦しむ。自分が辞めると周りの人が不幸になる。しんどいし辛いけれど辞めることができない』と言われました。私は胸が熱くなりました。人にやさしい心、愛を捧げようとしている。その話をしている間に彼は優しい顔になっておられ、翌日彼は元気になって帰って行かれました。
 人に愛を求めて自死した彼と、愛を捧げようとしている彼を思い、悲しいことや苦しいことがあっても、自分がやめればどうなるのかということを考える人になってほしいと思います。皆さんはどっちの生き方を選びますか?」と投げかけられました。
 また、福井先生は、秋の美しい星空を見ながらいつも思うこと、科学の進歩により、宇宙が大変な状態になってきているというお話もして下さいました。
 「宇宙には人工衛星が飛んでいます。人間が作った物で完全ではありません。打ち上げが成功するたびにメディアは喜びの声を上げていますが、本当に喜ぶべきものなのでしょうか。それらはどんどんとごみになって行きます、人間はどこへ行ってもごみを作ります。山も国もゴミだらけ。人間はいろいろな物を求め、自分が捧げて美しいものに変えていこうという思いがありません。このままでは宇宙が汚れ、地球が滅びます。科学の進歩、いろいろなことの進歩と共に、心や精神を高め豊かにしてほしい。見えるものを高めると共に、見えないものを高めて行く。自分を捧げる、優しさを人に捧げる。特に保育、福祉に携わる人はそうあってほしい」と締めくくられました。
 
 【講演の中で歌って下さった歌】
   ♪小さなことに大きな愛を

   ♪弱いことは素敵だよ

   ♪お祈りの歌

 本日の聖書、ローマの信徒への手紙第12章12節〜17節には、キリスト教的生活の規範が書かれており、「希望をもって喜び、苦難を耐え忍び、たゆまず祈りなさい…」とあります。「苦しみを喜びなさい」と題した福井先生のお話には、自分の得ばかりを求めてばかりいれば、結果として周りの人を不幸にし自分も不幸となる。自分を捧げ、愛を捧げることにより、周りの人も自分も幸せになるということを学びました。福井先生からのメッセージを心に刻み、日々の生活を送っていきたいと思います。
 福井先生どうもありがとうございました。そして、西竹さんと中山さん、素敵な歌をご披露いただき会場を優しく包んでいただきありがとうございました。一人ひとりの学生の心に響いたことと思います。
 最後に学生レポートの一部をご紹介します。

* 自分の幸せばかりを求めるのではなく、人に与えていくことが、保育士になるにあたって大切な ことなんだと感じました。人が幸せになることを、自分の幸せにできるような人になりたいと思いま  した。
* 求めるばかりでは結局自身を滅ぼすことになり、逆に与える心があれば、それは自身に返ってくるのだと真に思えました。本当に成長しなければいけないのは心であり、志であるとしっかり信じながら歩んでいきたいです。
* 自分がやりたい事をするより、人間としてしなければならないことをする。少しだけ自分が救われたような気がする。悩んでいたから心に残る言葉だった。与えられる人間になりたいです。

文責:保育科 山恭代


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2012年10月24日 12:02に投稿されたエントリーのページです。

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