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「被災地支援から学んだこと」上野 哲也先生

2011年9月14日(水)チャペルアワー
「被災地支援から学んだこと」(本日の聖書:ローマの信徒への手紙 第12章15節)
社会福祉法人蒲生野会 東近江地域障害者生活支援センター 相談支援員 上野 哲也先生(本学院社会福祉科卒業生)

  
 上野さんは本学院社会福祉科(現:介護福祉科)の卒業生で現在、滋賀県にある社会福祉法人蒲生野会の東近江地域障害者地域生活センターで、知的障害や精神障害のある方々の生活支援に携わる仕事をされています。その法人からの派遣で今年3月11日に起こった東日本大震災の被災地支援に行かれた中で感じられた思いを語って下さいました。

(お話の概要)
「私はこれまで3回の被災地支援に参加しました。支援先は主に宮城県南三陸町と気仙沼市で、私たちは主に仮設住宅や避難所に暮らしておられる障害者の方々の支援を目的に行きましたが、1回目は障害者の方々が今おかれている避難状況や、必要とされているニーズなどを把握し、宮城県の行政にデータとして伝えるという内容でした。もっと直接的な支援をイメージしていたので、被災地支援という実感がわかないまま10日間がすぎてしまいました。2回目には復興というより復旧もまだ進んでいないという状況の中で、行政機関などからの依頼を受けて仮設住宅に住んでおられる障害者の方の訪問支援、買い物や外出などの実際の関わりの支援をさせていただきましたが、その時の被災者の方からの「どうせあなた達は10日で帰るのだろう。10日間来たくらいで何ができるのか。そんなふうに来てもらっても何の助けにもならない」という言葉に私はショックを受けました。その言葉の中にはこの先何十年かかるか分からない生活をしていかなければならない被災者の方の様々な思いがありました。その言葉を聞いて私は自分の意識を変えないといけないと思いました。3回目は8月のお盆あたりに仮設住宅や壊れかけの家に住んでいる方、避難所にも支援に行かせていただき、そのあたりでやっと自分自身も体や気持ちがそこに馴染んでいっているような感じがしました。自然にその土地の方々の言葉に合わせて話せるようになったり・・・何か気持ちの変化が起こってきました。それが被災者の方にも伝わったのか「ありがとう」という言葉をかけていただいたときにやっと来てよかったと心から思いました。

 ところで、ボランティアなど被災者のために支援に来られること自体は地元の人にとってはありがたい話ではあるのですが、それらの方の言葉尻に自分の達成感とか満足感だけを求めてきておられることが感じられることもあるということを、地元のボランティアセンターの方にお聞きしたことがありました。自分もそうではないかと思うところがありました。1回目、2回目は自己満足的な気持ちで行きたいというところもありましたが3回目に行かせていただいた後、また来てほしいという依頼があった時には誰かが求めて下さっていることに、自分から行きたいな、行かせてもらおうという気持ちになりました。

 一方、私が被災地支援に参加している間は職場を空けることになります。相談員として関わる地元のご利用者には私が留守にすることでやはり負担をかけます。職場の仲間たちにも10日〜2週間職場を離れるにあたっては、自分が担当しているご利用者のことについて相談にのってもらったり、自分がいない間の仕事のことをお願いすることになります。帰ってくると居ない間の自分のフォローを職場の仲間が全部してくれていました。それを思っても、ただ自分が行きたいからではなく行かせてもらっているという気持ちになります。チームワークの大切さや、仲間がいてこそ仕事ができていくということも考える機会となりました。

 今、「絆」ということばが色々なところで言われていますが、私も被災地支援に携わる中で、この歳になって初めて人と人との繋がりというものを感じさせられました。また4、5回目を11月、12月に行かせていただくときには自分に何ができるのかわからないのですが、ただ行くということではなく本当に気持ちまで一緒になって支援に当たらないといけないと思っています。皆さんも保育、介護という対人援助の仕事につかれるわけですので、“人と人との繋がり”を意識できるような気持ちを持ち続けてほしいと思います。」


以下、お話を聞いての学生の感想を紹介します。
・回数を重ねるごとに気持ちが通じていく過程は、私たちの職業にも通じるものがありました。自己満足のためでなく、相手の気持ちに寄り沿った援助を行っていけるように心がけていきます。
・チームがあって仲間がいて仕事が成り立つ。自分の仕事を助けてもらってボランティアにいける。見えないところで支えてくれる絆がこんなところにもあるんだと実感した。
・正直、被災地へ行ってみたいと思った。自分が何出来るとかは分からないけど自分の目、耳で感じたいと思う。

 今日の聖書は「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい」という箇所でした。2回目の支援の際にショックを受けた被災者の方からの言葉、それによって意識を変えなければならないと思われたと上野さんは語っておられました。その意識は言葉の奥にあるさまざまな思いに共に心を寄せることに繋がり、その後の上野さんの気持ちの変化、被災者の方との関係の変化にと繋がっていっているように感じました。大切な学びを本当にありがとうございました。
文責:介護福祉科 池田奈緒実


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2011年09月14日 08:41に投稿されたエントリーのページです。

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